とんでもない不正事例である。
 
 会長の発言に会長夫人の裏経理だけでも有り得ない。クラウドマニュアルの作成という事業自体はこれからの労働環境を考えると非常に良い事業に思われるだけにとても残念。
会長A氏の発言
【2019 年 9 月 20 日】
○「営業の○○は使い物になってんのか。遊んでるとしか思わん。中途だよな?営業だよな?どうなの。(ペンを投げる音)使えねえんなら切れ、解雇だ。いらん
よ」
○「今、全体的に揺らぎを与えてるんですよ。朝、マネージャーたちと、マネージャー、課長職以上が、8 時から、毎日、マネジメントのお勉強ですと。いいなが
ら、半分は、何人か、「辞めろ」と。で、全体的には、中堅中途、ここもガンガン揺らぎを与えて、辞表でるかなあって。」
○「もうほぼほぼ中途はほとんど解雇しろ。そのつもりで、ガンガン。すっごい、いい雰囲気、会社の中。あっはっはっは(笑)」
A 氏の妻で、経理業務を取り仕切る J 氏は、上記の「受領書さえ取得すれば売上計上を認める」との解釈を形式的にとらえ、「顧客が(納品されたと)納得して受領書を取得してくれば、経理として売上計上する」という扱いを社内に周知し、経理としては、計上される売上に対応する納品が完了しているか否かについての独自の検
証を行わない(営業及び制作の判断に従う)対応を続けてきた。

第三者委員会報告書https://ssl4.eir-parts.net/doc/6541/tdnet/2072811/00.pdf

 架空売上が半分くらいで、分析すれば分かるはず、監査法人は何をしていたのだと世論なのでしょうが、エビデンス偽装されているなかで果たして分析結果をどこまで主張できるのか。

 残高確認の偽装回答、株売却した代金で偽装入金、取引の虚偽説明、嘘で塗り固められた記録の山を相手には、監査人の分析的手続により違和感を感じるということの無力さしか感じられない。

 この先、またいっそう監査法人のマニュアルやチェックリスト、品質管理が厳しくなるだろうと思うが、一方で内部統制報告制度は厳格化しないのか。

 上記の経営会議や取締役会にて予算実績差異が適切に説明されているかとか、製品の検収はサインだけでなく提案書と成果物に合致する納品物を確認できるものをつけるとか、販売プロセスで必要と思われる内部統制だが、業務プロセス上の要求に組み込まれていなかったようだ。

 不正起これば、監査の厳格化といった流れが繰り返されているが、監査の独り相撲を強いるのではなくて、企業の内部統制において何をしないといけないのかを示した方がいいと思う。

 IT 全般統制にはcobit やシステム管理基準といった参考とできるフレームワークや例示があるが、業務プロセス統制にはなく、現場では2010年頃いわれた簡素化の空気だけが残っている。

 上記の経営レベルの分析や売上計上の要件もそうだし、今のDXの流れを考えると、以下の本に書かれているアクセスコントロールや自動処理、エラーチェックといったIT 業務処理統制を規格化することも一案ではないか。

 不正の機会になりうる手作業は制限させるように業務プロセス上の要求事項としてルールや考え方を示した方がいいと思う。